2019年01月16日

Japaaan

ウェヴマガジン Japaaan にて「水玉椿」を取り上げていただきました。
とても嬉しいです。ありがとうございます!


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以前にも、私の作品についてもとても素敵に書いてくださいました。


京朋さんに「絵から飛び出す現実の着物を作りたい」と声をかけていただき、京朋さんの希望+私の譲れないポイントを踏まえて、わりと自由に出発しました。
アンティーク着物好きの私から見て、まだ派手派手な着物を着るには勇気の出ない初心者さんに着やすく、ド派手な柄を着こなす玄人さんにも「これなら着てみたい」と思ってもらえるものを…と考えデザインしました。

今まで(今も)未知の連続で作ることのみに精一杯でそれより先まで想像する余裕がありませんでした。やっと「着る物」として考えられるようになってきた感じです。
しかし私の思考は二次元まで…果たして着物という本物の衣服として成立しているのだろうか?ニンゲンに似合う物になっているのだろうか?

もし現実世界でこの着物を着てくれている方を見てしまったら、もう畏れ多くて私の心臓は緊張のあまり止まってしまいそう…

自分にとって初めてというものは、進む先全てが不確かで不安でドキドキが止まらないものですね。
良いものが作れますように。毎日祈っています。
posted by mikikatoh at 22:19| 着物

2018年12月29日

「水玉椿」マス見本

「水玉椿」のマス見本(染め見本)が年末になり、やっと求めていた色になって来ました!

着物の染料は、蒸すことで発色&定着します。
蒸し時間やその日の天候でも微妙に色が変わるそうで、蒸し器の入れ替えもあった為、毎回かなり色が揺らいでいたのですが…やっと安定したようです!

かつて京都の着物製造は巨大産業だった為、今もすべての工程が分業で別の工場で行われています。
染める工場が染料の調合をがんばっても、別の工場での作業が安定しないと同じ色が出せないというわけです。
これは本当に難しいことです。

マス見本が届くたびに、眉間に皺を寄せ「どうしたものか…」と悩んでいましたが、やっと着たいと思える着物になりました!
まだ気になる色や見せられない状態のモノもあったりしますが、年末ギリギリ本当にホッとしました。
ありがとうございます!!

iPhoneでの撮影で上手く撮れていませんが…

小鳥ちゃん達こんなに愛おしくなりましたよ。絹の柔らかさが気持ち良いです。

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小鳥さん帯、色展開。

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椿の着物。白部分が少しマットでシルク印刷のようになっています。色が淡く柔らかいのですが、この質感の違いがあるので椿に存在感が出ています。

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シマシマの帯と薔薇の帯。
青の色が出なくて出なくて…青が全部紫になってしまっていたので「青が青い!(感涙)」と胸がいっぱい。

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薔薇の着物と、椿の羽織は今もまだ試行錯誤中です。

11月の京都にて、着物を染めてくださっている工場さん。
一反の布を貼り、柄を1つ飛ばしながら染めていくのだそうです。全く悩む事なく機械のような手さばきで染めていて、すごかったです。

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着物の制作は普通のお仕事とは全然違っていました。内容や時間の感覚や様々な事が…想像を超える大変さでした(笑)

まず、着物のデザイン画を描き、京都が背景の絵も描く約束だったので絵の下絵(ラフ)を描き、ブランド名を決め…
と、ここまでを1ヶ月くらいで頑張りました(当初は半年早い発表予定だったので)。

それから、原寸の図案を描き、絵の原画を描き、色展開を考え、色見本チップを作り…

3月発表から9月発表に延期されましたが、マス見本が出るまで1ヶ月程必要なので色が違う度に焦りました。

9月に「水玉椿」発表があったので(京朋さんの年二回の大きな発表会)それに伴う色々なことがあり、メインビジュアルの絵を描き…(個人的にホームページのリニューアルもしたので、水玉椿ページも作りました。)
この時には現物をお見せできない状態で「大丈夫かな?」と心配していました(汗)

そんなこんなで、悩みながらずっと作業し続けていましたので、「これ着たい!ときめく〜!」と思える日は、辿り着けない場所のように感じていました…
だから、まだ完成してないけど、わーい!わーい!

2018年も残るところ後少し。
「水玉椿」のご報告ができました事、とても嬉しく思っております。

今年は初めてのことが多い一年で、特別大変だったようにも思います。
沢山の方に助けていただき、手を差し伸べていただき、だからやりきれたのだと思っています。
応援してくださいました方々、本当にありがとうございました!
2019年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
posted by mikikatoh at 23:00| 着物

2018年11月30日

京都・伏見稲荷ラビリンス

11/27-28とお仕事で京都に行ってまいりました。

メインは着物「水玉椿」の打ち合わせです。
制作佳境ですが、まだまだ課題が沢山あります。
京朋の皆さんや工場の方々にお会いし、着物の色出しの難しい理由や、私がとても染めにくいデザインを描いていたことなどを知りました。
作業工程ごと別々の工場で分業する京都の着物業界において、それぞれの工場をまとめ一つの着物に仕上げる難しさもわかってきました。
希望通りにしてくれようと一生懸命でいてくださる姿を見て、私ももっと勉強して自分が欲しい上に染めやすくクオリティの高い着物が作れるようになりたいなと思うのでした。
経験しながら学ぶことが本当に多いです。でも知る事や出来る事が増えるのはとても楽しい事です。


さて、お話は変わり。
ここは京都、夢の古都です。
やりたいことが多くありすぎて、2日じゃ全然足りません。

だって、タイミング良くPonia-ponの大野らふさん(アンティーク着物好きを開眼させてくれた師匠であり大切な友人)が着物監修した「谷崎潤一郎文学の着物を見る 展」がアサヒビール大山崎山荘美術館でやっているし(素敵な建物と展示が相まって素晴らしかったです)

5月に柴又FU-TENの壁画で描いた”花菖蒲の精”が真似っこしている東寺のイケメン帝釈天に再会したいし(象の横顔が可愛くて可愛くて可愛くて!)

京都に拠点を移したCLAMPさんには絶対お会いしたいし(憧れの素敵スタジオ!めちゃめちゃ美味しいお食事をご馳走になりました。私は漫画の世界に迷い込んだのだと思います…)

すっかり後回しですが、紅葉真っ盛りの京都で一箇所くらい紅葉の名所に行く義務があると思うし(朝一の東福寺はゆったりしていました。もみじが本当に美しい!)

そして今、描きたい絵の一つに伏見稲荷大社があるのです。
こんな絶好のタイミング、取材に行かねば!
体力無いけど山を全部ぐるっと回らねば!

そんな異世界の迷宮はこちらです↓

日本の観光スポット人気ナンバーワン!
お稲荷さんの総本山!の伏見稲荷大社。
大きな鳥居が沢山のお客様をお出迎えです。
(祭神は、宇迦之御魂大神、佐田彦大神、大宮能売大神、田中大神、四大神、だそうです。)
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お狐様もお出迎えしてくれます。
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さあ、異世界の扉が開きます。連なる鳥居のトンネルの始まりです。
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千本鳥居は人でいっぱい!皆楽しそう!
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奥社奉拝所到着
写真を撮りながら歩いて12分ほど。
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そこかしこにお狐様がいます。
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ここまで既に45分。
境内案内図を見た外人さんが『現在地』を知り「オーマイガ!」
そう、まだ半分も来ていません。
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京都市南部が一望できるポイント。
ここで引き返す人も多いでしょう。
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しかし、ここからが異世界の本番です!
伏見稲荷ラビリンスのスタートなのです!!
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お狐様、鳥居鳥居鳥居…
今までとは何か雰囲気が変わってきます。
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どの道を行けばいいの???
手書きの「頂上はこっち」の矢印だけが頼りです。
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石の鳥居鳥居鳥居…
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猫ちゃんがいる!
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馬ちゃんもいる!
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気づけば陽は落ち、道は寂しく、人もいない…
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ここはもうお狐様の聖地。
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1時間以上登り続けています。
私…道を間違ったんじゃ?
なんだか帰れる気がしません。
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息がゼエゼエ、いつまで登ればいいの?もう体力が限界です!そう思っていたら…
あれ?鳥居が増えてきた。何かがある気配!
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キター!
山頂、キター!
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1時間半、一の峰に到着!
念入りにお参りします。
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さあ、あとは下りの帰り道!
鳥居の作る影も綺麗です。
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帰り道…だよね?
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さっきの道じゃ…ないよね??
(下りの階段は楽かと思いきや膝にくる…)
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ここで私が消えても誰も気づかないと思う。
なのにお狐様が怖くありません。
不気味に思うどころかむしろ安心。神様のお使いだからでしょうか?
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おっと、この先完全に闇ですよね?
道、あるんですよね?
………
スマホの懐中電灯機能の威力を知る。
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抜けたー!戻ってきたー!
すっかり夜景ポイントに変わっていました。
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一周2時間。
今の私が伏見稲荷大社を描くには畏れ多い気がします。でも、どんな絵が浮かぶのか楽しみでもあります。
また来ますね!
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posted by mikikatoh at 00:11| 制作